3 事案の概要
上告人(サラ金業者)との取引は、第一の基本契約が1990年9月3日〜1995年7月19日までであり、第二の基本契約が1998年6月8日〜2005年7月7日まで、いわゆる空白期間が約2年11ヶ月といいう事案である。充当が否定されれば、第一の基本契約の過払い金は時効にかかることになる。
6 判決の評価−射程距離、今後の対応
(2)〜中略〜
ところで、本判決における特徴は、契約の同一性の判断において、通常裁判で最も重視される「契約番号(の同一性)」が「事情として挙げられていないこと」である。ただ、私たち消費者側弁護士からすれば、本判決があえて「契約番号」の異同を挙げなかった理由は、「契約番号」が同一の場合には、形式的に契約(貸付取引)が同一であると判断したからだ、と考えてもよいのではなかろうか。
〜以下略〜
2008.1.18 過払い金返還訴訟 最高裁判決
途中で完済がある場合、サラ金、消費者金融業者は、分断計算(一連計算)を主張して過払い額の提言を求めてきます。また、完済が10年以上前であれば完済前の取引の時効を主張してきます。現在の過払い金返還訴訟(不当利得返還請求)においては、みなし弁済の否定、悪意の受益者は最高裁で判例が確定しているので争点になりません。ですからサラ金、消費者金融業者の最後の砦が、分断計算(一連計算の否定)と時効です。
本判決は、途中完済があって、取引が分断している場合の一連計算とみなせる特段の事情を具体的に列挙した点で重要な判例です。
さて特段の事情は以下によって判断されます。
- 第1の基本契約に基づく貸付け
及び弁済が反復継続して行われた
期間の長さ
- 第1の基本契約に基づく最終の
弁済から第2の基本契約に基づく
最初の貸付けまでの期間
- 第1の基本契約についての
契約書の返還の有無
- 第1の基本契約に基づく借入等に
際し使用されるカードが発行されて
いる場合にはその失効手続の有無
- 第1の基本契約に基づく最終の
弁済から第2の基本契約が締結
されるまでの間における貸主と
借主との接触の状況
- 第2の基本契約が締結されるに
至る経緯
- 第1と第2の各基本契約における
利率等の契約条件の異同等
これらの事情を考慮して,
第1の基本契約に基づく債務が完済
されてもこれが終了せず,
第1の基本契約に基づく取引と第2の
基本契約に基づく取引とが事実上
1個の連続した貸付取引であると
評価することができる場合には,
第1の基本契約に基づく取引による
過払い金を第2の基本契約に基づく
借入金債務に充当する合意が存在
すると解釈するとのことです。
平成20年1月18日 最高裁第二小法廷 不当利得返還等請求事件の最高裁判決全文を読んでいきます。左側に判決文を右側にコメントを記述しています。
主文
原判決中,主文第1項及び第2項を破棄する。
前項の部分につき,本件を名古屋高等裁判所に差し戻
す。
理由
上告代理人太田三夫の上告受理申立て理由について
1 本件は,上告人を貸主,被上告人を借主としていわゆるリボルビング方式の
金銭消費貸借に係る二つの基本契約が締結され,各基本契約に基づいて取引が行わ
れたところ,被上告人が,上記取引を一連のものとみて,これに係る各弁済金のう
ち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以
下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると過払金(不当利得)が生じてい
ると主張して,上告人に対し過払金の返還を請求する事案である。最初に締結され
た基本契約に基づく取引について生じた過払金をその後に締結された基本契約に基
づく取引に係る債務に充当することができるかどうかが争われている。 |