サラ金、消費者金融から過払い金を取り返す
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  • 平成20年1月18日 最高裁 過払い金返還訴訟判例 一連計算を認める条件の厳格化

    最高裁判決2008−弁護士が語る

    担当弁護士である北村栄弁護士の論文が法学セミナー 2009年 03月号 [雑誌] に掲載されています。ここでは一部抜粋します。関心のある方は是非購入して読んでみてください。(掲載して皆さんに知ってもらいたいのですが、著作権の問題があり残念ながら公開できません。大変参考になるので過払い金を取り戻そうと考えている方、あるいは、すでに取り戻された方で関心がある方は、購入してください。)

    3 事案の概要

    上告人(サラ金業者)との取引は、第一の基本契約が1990年9月3日〜1995年7月19日までであり、第二の基本契約が1998年6月8日〜2005年7月7日まで、いわゆる空白期間が約2年11ヶ月といいう事案である。充当が否定されれば、第一の基本契約の過払い金は時効にかかることになる。

    6 判決の評価−射程距離、今後の対応

    (2)〜中略〜
    ところで、本判決における特徴は、契約の同一性の判断において、通常裁判で最も重視される「契約番号(の同一性)」が「事情として挙げられていないこと」である。ただ、私たち消費者側弁護士からすれば、本判決があえて「契約番号」の異同を挙げなかった理由は、「契約番号」が同一の場合には、形式的に契約(貸付取引)が同一であると判断したからだ、と考えてもよいのではなかろうか。
    〜以下略〜

    2008.1.18 過払い金返還訴訟 最高裁判決

    途中で完済がある場合、サラ金、消費者金融業者は、分断計算(一連計算)を主張して過払い額の提言を求めてきます。また、完済が10年以上前であれば完済前の取引の時効を主張してきます。現在の過払い金返還訴訟(不当利得返還請求)においては、みなし弁済の否定、悪意の受益者は最高裁で判例が確定しているので争点になりません。ですからサラ金、消費者金融業者の最後の砦が、分断計算(一連計算の否定)と時効です。

    本判決は、途中完済があって、取引が分断している場合の一連計算とみなせる特段の事情を具体的に列挙した点で重要な判例です。

    さて特段の事情は以下によって判断されます。

    1. 第1の基本契約に基づく貸付け 及び弁済が反復継続して行われた 期間の長さ
    2. 第1の基本契約に基づく最終の 弁済から第2の基本契約に基づく 最初の貸付けまでの期間
    3. 第1の基本契約についての 契約書の返還の有無
    4. 第1の基本契約に基づく借入等に 際し使用されるカードが発行されて いる場合にはその失効手続の有無
    5. 第1の基本契約に基づく最終の 弁済から第2の基本契約が締結 されるまでの間における貸主と 借主との接触の状況
    6. 第2の基本契約が締結されるに 至る経緯
    7. 第1と第2の各基本契約における 利率等の契約条件の異同等

    これらの事情を考慮して, 第1の基本契約に基づく債務が完済 されてもこれが終了せず, 第1の基本契約に基づく取引と第2の 基本契約に基づく取引とが事実上 1個の連続した貸付取引であると 評価することができる場合には, 第1の基本契約に基づく取引による 過払い金を第2の基本契約に基づく 借入金債務に充当する合意が存在 すると解釈するとのことです。

    平成20年1月18日 最高裁第二小法廷 不当利得返還等請求事件の最高裁判決全文を読んでいきます。左側に判決文を右側にコメントを記述しています。

    主文

    原判決中,主文第1項及び第2項を破棄する。
    前項の部分につき,本件を名古屋高等裁判所に差し戻 す。
    理由
    上告代理人太田三夫の上告受理申立て理由について
    1 本件は,上告人を貸主,被上告人を借主としていわゆるリボルビング方式の 金銭消費貸借に係る二つの基本契約が締結され,各基本契約に基づいて取引が行わ れたところ,被上告人が,上記取引を一連のものとみて,これに係る各弁済金のう ち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以 下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると過払金(不当利得)が生じてい ると主張して,上告人に対し過払金の返還を請求する事案である。最初に締結され た基本契約に基づく取引について生じた過払金をその後に締結された基本契約に基 づく取引に係る債務に充当することができるかどうかが争われている。
    ここがこの裁判の争点
    2 原審が確定した事実関係の概要
    ここが原審で明らかになった事実です。もし詳細に見たい場合は、クリックしてください。
    3 原審の判決
    原審の判決内容を見たい場合は、クリックしてください。
    しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 ここからが最高裁の判断。
    (1) 同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されること を予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金 のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,過払金が発 生することとなった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず, その後に,両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契 約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引によ り発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事 情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基 づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である(最高裁平成18年 (受)第1187号同19年2月13日第三小法廷判決・民集61巻1号182 頁,最高裁平成18年(受)第1887号同19年6月7日第一小法廷判決・民集 61巻4号1537頁参照)。
    そして,第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が 反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に 基づく最初の貸付けまでの期間,第1の基本契約についての契約書の返還の有無, 借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無, 第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間にお ける貸主と借主との接触の状況,第2の基本契約が締結されるに至る経緯,第1と 第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同等の事情を考慮して,第1の基 本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引 と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価す ることができる場合には,上記合意が存在するものと解するのが相当である。
    特段の事情を具体的に列挙した。
    (2) これを本件についてみると,前記事実関係によれば,基本契約1に基づく 取引について,約定利率に基づく計算上は元利金が完済される結果となった平成7 年7月19日の時点において,各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過 払金42万9657円が発生したが,その当時上告人と被上告人との間には他の借 入金債務は存在せず,その後約3年を経過した平成10年6月8日になって改めて 基本契約2が締結され,それ以降は基本契約2に基づく取引が行われたというので あるから,基本契約1に基づく取引と基本契約2に基づく取引とが事実上1個の連 続した貸付取引であると評価することができる場合に当たるなど特段の事情のない 限り,基本契約1に基づく取引により生じた過払金は,基本契約2に基づく取引に 係る債務には充当されないというべきである。
    原審は,基本契約1と基本契約2は,単に借増しと弁済が繰り返される一連の貸 借取引を定めたものであり,実質上一体として1個のリボルビング方式の金銭消費 貸借契約を成すと解するのが相当であることを根拠として,基本契約1に基づく取 引により生じた過払金が基本契約2に基づく取引に係る債務に当然に充当されると する。しかし,本件においては,基本契約1に基づく最終の弁済から約3年間が経 過した後に改めて基本契約2が締結されたこと,基本契約1と基本契約2は利息, 遅延損害金の利率を異にすることなど前記の事実関係を前提とすれば,原審の認定 した事情のみからは,上記特段の事情が存在すると解することはできない。 そうすると,本件において,上記特段の事情の有無について判断することなく, 上記過払金が基本契約2に基づく取引に係る債務に当然に充当されるとした原審の 判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
    5 以上によれば,論旨は理由があり,原判決中,主文第1項及び第2項は破棄 - 7 - を免れない。そこで,前記特段の事情の有無等につき更に審理を尽くさせるため, 本件を原審に差し戻すこととする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官今井功
    裁判官 津野修
    裁判官 中川了滋
    裁判官  古田佑紀)

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