このページの最終更新日:2011/02/17 11:46
サラ金との取引に10年間空白があっても時効になりません。
平成21年1月22日最高裁は、判決において過払い金返還請求権の消滅時効は取引終了から始まるとしました。この判決を受けて、サラ金、貸金業者とのとの取引が10年間無い場合、あるいは、最後の取引から10年経過している場合、時効(消滅時効)が成立して、サラ金に時効を援用されると過払い金の返還請求はできないとされていました。ところが、平成21年8月28日 名古屋地方裁判所一宮支部判決では、約定利息で完済した日から12年11ヶ月経過してからの過払金の請求につき、取引が継続していることを理由に消滅時効が進行を始めていないので、貸金業者の消滅時効の援用を退ける判断をしました。つまり最高裁の判決における取引終了とは、契約終了であり、借主が積極的に解約をしない限り契約終了にならないとしたのです。 サラ金との契約は、一般的に解約をしない限り、自動延長で(サラ金は、いつでも借りてほしいのでサラ金側から解約はしない)完済したからといって、取引終了とはならないのです。(下記に株式会社しんわの基本契約書の第2条を示します)
(契約の期間)借入限度基本契約の有効期限は本契約日から5年間とし、契約満了日に発生している残債務は当日に全額を支払うものとします。但し、契約満了までに借主から何らの申出が無い場合は、更に借入限度基本契約を5年間自動継続することとし、以後もその例によります。
過払い金の清算が無い限り消滅時効の援用は認められないとの原告の主張
以下は、平成21年1月22日最高裁判決における取引終了とは、基本契約
の解除の合意と借入金債務又は過払金債権の精算合意がなされた時点
で取引が終了したとすべきであり、過払い金の清算が無い限り、消滅時効の援用は認められないという原告の主張です。
過払金返還請求権の消滅時効の起算点につき,最高裁判所平成21
年1月22日判決は,「取引が終了した時点」としたが,いかなる事
由が生じた時に「取引が終了」となるかが問題となる。
基本契約を締結して行う継続的金銭消費貸借契約においては,貸主
には貸付義務が,借主には返済義務が発生し,相互に債権債務を負担
して強固な信頼関係が形成される。また,基本契約は,借入限度額を
定め,貸付と返済を反復継続して行うことを予走し,顧客との長期に
わたる契約関係を前提としている(「極度額契約書」(甲6)の第4
条の自動更新規定・参照)。したがって,借主の債務整理,破産申立
てなど借主の信用状況が終局的段階に入るか,借主が過払金の返還を
請求するなど相互の貸付・返済義務の履行が期待できなくなるような
信頼関係が破壊される事由が発生した時に取引が終了するというべき
である。
また,基本契約も契約であるから当事者間の合意によって終了でき
るが,解除においては契約関係によって発生した権利義務関係を精算
する必要があるところ,基本契約が利息制限法所定の金利を超えた利
息を定めたものである以上,正常な取引を継続する限り,将来のいず
れかの時点で元本が完済して過払金が発生することが確実であるか
ら,過払金の発生が予定されているといえる。したがって,基本契約
の解除の合意と借入金債務又は過払金債権の精算合意がなされた時点
で取引が終了したというべきであり,精算合意がない限り,取引が終
了することはない。
以上の取引の終了事由が生じない場合は,取引は継続し,過払金返
還請求権の消滅時効は進行しない。
原告は,平成8年1月31目に約定利息で計算した債務を全額
支払った優良顧客であり,信頼関係が破壊された事情はない。また,
約定利息で債務全額を支払ったので過払金が発生していたことは明ら
かであるが,その精箕はなされていない。本件で取引が終了した時点
は,原告が原告代理人に債務整理を依頼して,原告代理人が被告
に対し内容証明郵便にて過払金の返還請求をした時点であって,いま.
だ10年の消滅時効期間は経過していない。
被告は原告に関す.る契約書を未件で提出していないが,実際に
被告が使用していた「極度額契約書」(甲6)の第4条(借入有効期
間)には,「1 本契約に基づく借入ができる期間(以下「契約期間」
という)は,契約成立の日から5年間とします。但し,当事者の一方
から契約期間満了目1ヶ月前までに何らかの申出の無いときには,さ
らに5年間自動更新するものとし,その後も同様とします」と規定さ
れている。
原告は,原告代理人が受任するまで,基本契約を終了させる意
思表示をしたことはないし,被告からも基本契約を終了させる通知を
受けたことはない。よって,原告の被告に対する過払金返還請求
権の消滅時効期間は経過していない。
平成21年8月28日 名古屋地方裁判所一宮支部判決(完済した日から12年11ヶ月経過しても消滅時効の援用を退ける)
以下に平成21年8月28日 名古屋地方裁判所一宮支部判決の一部抜粋を載せておきます。
被告が貸金業者であることは当事者間に争いがなく,証拠(甲1の
1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,原告と被
告は。平成7年3月6日,基本契約となる継続的金銭消費貸借契約を
締結したこと,上記基本契約は,基本契約に基づく借入金債務につき
利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過
払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ
上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意
(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであったこと,原告
は,上記基本契約に基づき,同目15万円を借り入れ,その後,別
紙1記載のとおり,平成8年1月31日まで借入と返済を繰り返した
こと,原告は、被告に対し,上記基本契約に基づく原告の返済
によって被告に不当な利得が発生したとして,平成20年12月15
日,本件訴訟を提起したことが認められる。
ところで,被告は,基本契約を締結した平成7年3月6日から平成
8年1月31日間の取引にっいては,原告が被告に対して有して
いた不当利得返還請求権は,消滅時効によって消滅した旨主張するけ
れども,上記過払金充当合意において,新たな借入金債務の発生が見
込まれる限り,過払金を同債務に充当することとし,借主が過払金に
かかる不当利得返還請求権を行使することは通常想定されていないの
で,過払金充当合意は,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の
発生が見込まれなくなった時点で過払金が存在していればその返還請
求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度そ
の返還彰請求することはせず,これをそのままその後に発生ずる新た
な借入債務への充当の用に供する趣旨を含んでいると解されるから,
基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続
中は過払金充当合意が法律上の障害になるといえるので,継続的な取
引の一部について消滅時効を主張する被告の主張は採用できない。
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