サラ金、消費者金融から過払い金を取り返す
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  • 和解、調停が成立している場合の過払金返還請求の可否

    既に和解や調停などが成立している場合でも過払い金返還請求ができる場合があります。

    1 訴訟外の和解がなされている場合

     まず、訴訟外で和解をしている場合ですが、当事者が既に業者と和解をして いるような場合については、全然気にする必要はなく、利息制限法は公序良俗 に関する規定だから、当事者間で和解をしたからといって、それは全く効力は ないと主張することができます。そうすれば、業者もほとんど争うことはあり ません。

    弁護士を介して成立した和解を無効とした判例(東京地裁判平成11.9.28金融法務事情1574号45頁,判例タイムズ1085号232頁)

    (判決要旨)  利息制限法の法条と判例の趣旨に照らすと,すでに任意の支払により本件貸金債務の元本と利息制限法の範囲に引き直した利息の支払いが済んでいて,さらに超過支払いが生じていて,これについて不当利得が被告に成立している場合に,右貸金債務に関して任意に債務弁済契約を締結する中で,利息制限法1条1項に反する過払い分の不当利得返還請求権を放棄することは,右法の趣旨にもとるものとして許されず,違法な約束といわざるを得ず,無効なものというべきである。  本件和解契約が弁護士の資格を有する者によって締結されているものであること,本件和解契約は被告が右和解交渉にあたった原告代理人の弁護士を信頼した上でのものであることは,右結論を左右するものではない。

    調停の決定を要素の錯誤により無効とした判例(和歌山地裁平成18.05.25)(兵庫県弁護士会)

    原告と被告は,平成8年4月22日,松阪簡易裁判所で債務弁済協定調停事件において,調停に代わる決定(民事調停法17粂)を受け,同決定は確定した。同決定が確定したときは,裁判上の和解と同一の効力として,調停と同様に原則として既判力を有するが,異議の申立てをしなかったことにつき,要素の錯誤等の実体法上の瑕疵が認められる場合は,当事者は,再審によらずに当該決定の無効を主張することができる。

    アイフルが取引履歴を偽って成立した和解を無効として慰謝料30万円が認められた(京都地裁平成16.10.14) (兵庫県弁護士会)

    アイフルが取引履歴を偽って和解(1次和解)した件で、取引履歴の嘘が判明した後、訴訟を起こして慰謝料請求もしたところ、慰謝料30万円を認める和解(2次)が成立した。

    特定調停と過払い請求060913 大阪地裁 GE(レイク)

    本判決は,貸金業者が特定調停時に提出された取引履歴に基づく取引についてのみ既判力が及び,提出されていない取引については既判力が及ばないとし,未開示部分の過払金全額の返還を命じた。

    2 訴訟上の和解がなされている場合

     次に、訴訟上の和解がなされている場合については、一応裁判官が間に入っ ているわけですから、ただ単に当事者が利息制限法を知らなかったというだけ で、錯誤無効を主張することができるかというと、なかなか難しいと言わざる を得ません。法律の不知だと主張され、敗訴するケースが多いのが事実です。

     ただ、民訴法上の理論からすれば、訴訟上の和解や調停というのは、制限的 な規範力しかないわけですから、錯誤とか詐欺とかがあれば、無効や取り消し を主張できるというのは当然のことなので、あきらめずに本人を誤認させる様々 な事実を積み重ねて主張することで、錯誤を主張することが考えられます。

     和歌山地裁新宮支部判決平成一八年五月二五日(判例集未搭載)は、特定調 停で一七条決定が出されている事案において、「形式上は決定であるが、その 実質は受調停裁判所による最終的な調停解決案の提示であって、当事者等が異 議の申立てをしなかったことは、そこに合意の存在が擬制され、調停に準じる 性質を有するものと解される。したがって、同決定が確定したときは、裁判上 の和解と同一の効力として、調停と同様に原則として既判力を有するが、異議 の申立てをしなかったことにつき、要素の錯誤等の実体法上の瑕疵が認められ る場合は、当事者は、再審によらずに当該決定の無効を主張することができる と解するのが相当である。」と論じて錯誤を認めています。

     特定調停における一七条決定というのは、調停が成立しない場合に、裁判所 の調停委員会が良いと思われる条項を作成して決定を出し、2週間以内に異議 申し立てしなければ確定するというものですが、その実態は、ほとんどの貸金 業者が特定調定に出頭して来ないために、調停委員が貸金業者と電話をして 「この内容で良いでしょう。」と合意案をまとめ、調停合意の代わりに決定で 出すというものです。ですから、決定といっても実態は調停だということで、 この判決は、原則として規範力を要するけれども、要素の錯誤等があったとき には無効を主張することができると判断しているわけです。その上で、当該事 案の当事者については、多重債務者であって利息制限法というものを知らず、 調停委員からもそのような説明を受けずに決定を受けたというような事実関係 を認定し、それをもとにして、錯誤無効を認めたのです。

    3 既に判決が出されている場合

     さらに、貸金業者が貸金業規制法四三条一項の適用を主張して訴状を提出し、 当事者が出頭して争うことができずに判決が出てしまっていたり、当事者が欠 席して欠席判決が出されているような場合に、後に過払い金返還請求をなすこ とができるか否かが問題となります。このような場合は、判決の既判力の原則 からすれば、ほとんど無理と言わざるを得ません。

     しかし、場合によっては、貸金業者が潜称支配人で訴訟を遂行していたよう な場合には、その判決の効力を争うことによって、過払い金返還請求が可能に なる場合もあり得ます。あきらめずに争うことで、訴訟上の和解ができる場合 もありますから、粘りが肝心です。

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